酒粕
2013.06.12 17:44|naoko@kisoji|

そろそろ酒粕の季節がやってきます。
と言っても、まだ少し早いでしょうか。
2年程前、酒粕人気で冬の板粕が沢山売れましたが、
この冬は少し落ち着いて例年プラスαと言った売れ行きでした。
夏粕もは大きなコンテナ18本に分けて踏み込んでありますから、
状態の良いものから順に袋詰めをしていきます。
最近では、瓜とかキュウリとか、
粕漬けを自宅で作る家庭も減っては来ていますが、
まだまだ田舎では漬物は食卓の常連さん。
特に粕漬けは重宝されますね。
地域によって、求められる酒粕の状態も微妙に違い、
木曽は比較的やわらかい酒粕でも受け入れられます。
それが、お隣の伊那谷に行けば、
カチカチに硬い酒粕でなくてはいけないと言うのですから、
やはり長野県の文化は谷ごとに大きく違うんだなと実感します。
野菜の出来によっても酒粕の出荷量は変動します。
今年は梅雨に入っても雨が少ない天気ですし、
野菜の出来が少し気になるところですね。
ところで、酒粕が冬の板粕と夏の踏込粕の2種類あることを
あまりご存じない方もいらっしゃいますので、
簡単に説明をしておきます。
冬の板粕は、醪をしぼると、液体と固体に分かれます。
液体の部分が日本酒で、個体の部分が酒粕です。
薮田式醪圧搾機と言う名の、アコーディオンの様な
お酒をしぼる機械を使ってしぼることがほとんどですが、
その板と板の間に、個体の部分が残ります。
それを剥がしてそのまま袋詰めしたものが板粕です。
お米の粒や麹の粒が溶けずに残った部分で、
その他には酵母もまだ生きた状態で存在しています。
麹由来の酵素も酒粕の中にもたくさん存在します。
お米や麹由来の栄養成分もアミノ酸の形で存在します。
だから、とっても健康にいいですよ!と言うことで、
酒粕がたくさんうれたのですね。
板粕は、そのまま焼いて食べたりお味噌汁に入れたり、
お魚を漬け込んだり、粕汁にしたり、
色んな楽しみ方があります。
ですが、冬~春限定の商品です。
そして夏が近づくと、各蔵から一斉に踏込粕が発売されます。
この踏込粕は、その名の通り、
冬の板粕を大きなコンテナの中に細かくして入れて、
それを上から踏み込んで熟成させるのです。
粕の中に残っている酵母や酵素の働きで、
日が経つごとに柔らかく熟成されていきます。
板粕は白くてきれいな色をしていますが、
踏込粕は少し茶色がかったピンク色になります。
香りも変化してきて、芳ばしい印象になります。
で、その踏込粕にお砂糖やお塩や、
地域によっては焼酎や日本酒を混ぜ込んで、
瓜やキュウリやその他の野菜を漬け込むのです。
同じ酒粕ですが、
季節によって、味わいも違えば用途も違います。
これからは踏込粕の季節。
地域の酒屋さんやスーパーにたくさん並ぶことでしょう。
ウチの酒粕は、比較的柔らかいですが、
とても風味がよくてご好評をいただいております。
夏野菜と酒粕。
これもまた夏の風物詩かな。

ウチは少し早い目準備。7月に入れば、各蔵から出揃うでしょう!