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12月なのに。

2015.11.26 23:16|naoko@kisoji


これは当社の充填室の一角です。
お恥ずかしながら、充填室としての環境はまだまだ不充分。

日本酒はアルコール飲料の特性上、
病原性の細菌による腐敗等が起こりにくいため、
食品衛生の観点では非常に管理が甘いのが現状です。

当社も例外ではなく、充填室の開放的空間や、
天井や壁の痛みは目に余るものがあるものの、
すぐに設備投資をすることもできず、
今は段階的に満足のいく充填室を作るべく、
毎年少しずつ手を加えている状況です。

今年の夏は不要な設備を撤去して充填ラインのかさ上げをして、
床の掃除をしやすいように一歩前進しました。

来年の夏は、できれば壁床をきれいにやり直し、天井を撤去し、
再来年の夏にいよいよパーテーションで充填室を独立させ、
内圧をあげて異物混入対策を。。。と、
おおまかにはスケジューリングしていたのです。

充填室の上の階は荷物の搬入搬出に使っており、
人の出入りもあるために入口となるシャッターが
実はつい1年半ほど前まで、
就業時間中ずっと解放状態が当たり前でした。

当社は敷地の狭さゆえ、吹き抜けを使って荷物の移動を
行っているのですが、その吹き抜けの下の階がまさに充填室なわけです。

充填の作業があってもなくてもシャッターは解放してあり、
充填室側のシャッターも開いたまま作業をしていることが多く、
簡単に言えば、外気が建物の中を通る状態で充填しているのと、
何ら変わりがなかったのです。

それも嫌でしたし、防犯上も好ましくなかったので、
シャッターの解放を必要以外厳禁にしたのですが、
その反面、充填室の空気が動かなくなったため、
今度は下の階に湿気が溜まるようになったのです。

湿気が抜けにくいのは今に始まったことではないのですが、
加速度的に湿気が籠るようになたのは否定できず、
結果として下の階の天井裏に多くの水が溜まってしまうようになりました。

充填室の電灯は漏電するわ、天井から滴が垂れるわで、
結果として来年の夏に施工しようと考えていた天井の撤去を、
急遽この年末の忙しいときに行うことにしたのです。

もちろん、この症状は秋には気づいており、
たぶん冬は越せるだろうと言う予測のもと、
工事を先延ばしにしていたのですが、結局ダメだったわけですね。

色んなことを計画的にと、資金的な事情もありますから、
段階的に資金を投じていくのは当たり前だと思います。
しかし、なぜか年末、忙しいにも関わらず、
今回のような不足の事態が起こりやすいんですね。

今年は充填室の天井ですが、
昨年はラベラーのシーケンサーがダメになり、
12月確か27日とかに、設備やさんは仕事納めの翌日、
夜10時くらいまで掛かって修理して下さいました。

一昨年は社員が28日で突然退職し、
(詰まるところ、私がいけなかったわけですが)

さらにその前の年は保健所の監査が入り、
大きな不備を指摘されてあたふたしたのも、年末年始にかけてでした。
この年は結果として火災を起こして大変なご迷惑をかけた、
そんな年でもありました。

その更に前の年は、年末に排水層が溢れて
重油のタンクに水が入りそうになり青ざめたのも、
これまた12月27日だったと、記憶しています。

そして今年。先述した通り、
敢えて今じゃなくてもいいのに天井撤去工事。

これも仕事の都合で年末の26日に施工です。

こうして振り返ってみると、
全てが自分の詰めの甘さに起因するんですね。
気づいていたのにすぐに対処せず後回しにした結果です。
火事の時もそうでしたから、
起こることの大小に関わらず、その因果関係は同じなのですね。

判断を間違えることはありますけれど、
ただ、ダメだと解っていて放置したり後回しにしたりすることは、
やはりとるべき行動ではないと、実感します。
大きな事故に繋がりかねないリスクもはらみます。

結局忙しい時だし、資金も急遽必要になるし。。。
様々なことが小さな選択の上に成り立っているからこそ、
瞬時の選択、判断を出来るだけ的確に行いたいし、
仮に間違ったとしても次の選択で方向修正出来るように、
判断力を磨いていきたいなと感じました。

年末、また忙しくて気持ちに余裕がなくなるんだろうな。
でも、出来るだけ冷静に乗りきりたいと思います。


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幸せスパイラル

2015.11.22 18:15|naoko@kisoji
ここ数日、「幸せな会社とは」と言うキーワードに、
偶然にも数多く出会っています。

現在、私が掲げる理念は、
「造る人も、売る人も、飲む人も、皆が幸せになる酒を醸したい。
記憶に残る、満足度の高い酒造りを!」です。

私が入社した頃は、実は当社の社員は皆何となくギスギスしており、
社長や役員と社員との距離感もとても遠く感じていました。

社長になって、一番に恐怖心として襲ってきたのが、
「社員の生活」をどう保証するかでした。

経営の経験もなく、勉強もしたことのない小娘にとって、
10名の社員とその家族の生活を支えるのは、
甚だ肩の荷が大きかったのは言うまでもありません。

社長になってからは、経営改革しなくてはと躍起でしたが、
結局のところただただ目の前の課題に向き合い改善をしていく、
日々その繰り返しなのですね。

そのなかで、社員に対して最初に行った改善が
「社員の労働条件を整備し、明確に伝えること」だったのです。

社員面接をして愕然としたことのひとつが、
「給料は上がらなくて当然」と思っている社員が大多数だったこと。

一生懸命働いても、昇給の希望も出てこない。
時間外もざっくり計算で、ぐだぐだいても一生懸命でも違いがない。

そんな会社の社員だったら、私はとっくに辞めていてもおかしくないと、
自分に立場を置き換えてみたらそう感じたのです。

労働条件を明確にする、時間外手当てを1分単位で支給する、
その代わり、給料は労働の対価であることをしっかり伝える、
そして、一生懸命働いた分は、会社として精一杯還元する。

まず始めは、本当に単純明快なことだけを実行したのです。

私が社長になってから、黒字転換はようやく前期で叶ったわけですが、
数字的に厳しかった時期がしばらくある中で、
賞与だけは、ホント微々たるものでも年に2回払ってきたんです。

単純な話、私が社員として会社員を異業種でしていた時は、
やはり報酬は自分の評価であり、モチベーションであったからです。

やりがいとか充実とか、無形のものに価値はあるのだけれど、
でもそれだけでは生活できない、家族を養っていけない。
私だって、頑張った分の報酬を手にしたい。
人として当たり前のことだと思うんです。

そして、社長になりたての私にとっては、
そう言う明確さがなければ社員に対して表現できなかったのでしょう。


さて、話を戻します。
「幸せな会社とは。。。」

私が考えるのは、「社員が幸せであること」なのです。
ただ、これは私の主観であって、
社員が本当に幸せかどうかなんて計り知れないわけです。

私が最初に感じたように、報酬や待遇面を幸せのバロメーターにする社員、
はたまた、会社での責任や仕事のやりがいを幸せのバロメーターにする社員、
プライベートの時間の確保をを幸せのバロメーターにする社員、
夢や希望を語れることが幸せのバロメーターになる社員、
家族を育みどう守ることが出来るかを幸せのバロメーターにする社員、
お客様の幸せが自分の幸せと感じる社員、

人生観や価値観は人それぞれで、
社員たちがどう感じているかなんて、怖くて到底尋ねられません。

でも、少し昔よりは、社員たちの仕事ぶりが
イキイキしているように感じるのも、それはそれで事実な訳です。
社長としては、そんな姿や頑張りから、きっとうちの社員の幸せ度は
少なからず上がっているんじゃないかって、勝手に思っているわけなのです。

これからの私の課題。
社員に任せること、社員を誉めること。

待遇面の満足度は経営努力で叶うわけです。
でも精神面、例えばやりがいとか責任感とか充実とか、
そう表現される部分ってのは、
私個人の感性にも大きく関わってくるのです。
小さい会社ですから当然なのです。

1日の中で仕事に費やす時間って本当に大きな割合を占めますね。
それが幸せではない時間だったとすれば、1日の寝てる時間以外、
大部分を幸せではない時間として過ごさなくてはならなくなります。
そんなスレた人生なんてつまらないですね。

社員が幸せに充実した仕事を出来ることで、
必然的に仕事の質もあがり、商品の質も上がる。
商品力が上がり、ブランド力も上がる。
そんな繋がりの中でお客様に美味しいお酒がお届けできて、
幸せな時間を過ごしていただく。

そうすれば、自然と売上が伴い、利益も上がる。
そしてまた、社員に還元していく。

そんな幸せスパイラルを巻き起こしていきたいですね!



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麹の評価

2015.11.15 21:54|naoko@kisoji
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麹造りも回を重ねてきて、
今季序盤の麹造りの方向性も決まってきて、
作業も慣れて落ち着いてきて、
安定した麹造りが出来るようになってきました。

もちろん、いつでも最高の麹を造っていくのは
当然のことなんですが、
やはりその年の米の特性を掴むには、
それなりの時間が必要にはなります。

麹造りも20回を越えてきて、
ようやく序盤の麹としてはそこそこ満足度の
高いものが仕上がるようになってきました。

と言うわけで、麹の力価分析をお願いすべく、
サンプルの郵送準備をしたわけです。

見た目や各歩合が目標通りでも、
そこに至る経過が違えば
出来上がりの酵素力価も変わってきます。

必要な酵素もいくつか種類があるので、
どの酵素の力価を高めたいとか、
あまり力価が高くなってほしくない酵素があるとか、
あるいは、当社の造りの傾向として、
力価が高くなりがちな酵素があったりとか、
酒質への影響が大きいだけに、
しっかりと情報を蓄積していきたいのです。

麹造りの目標は、いかに有効な酵素を
バランス良く生成するかなのですが、
そのバランスは目指す酒質によっても違うので、
できれば毎回分析して力価を測定したいのですが。

残念ながら当社では麹の力価分析ができませんから、
毎年うまく造れた麹を種麹やさんへ分析に出して、
目安となるようにしているのです。

まずは同じ米で造った麹3回分。
少しずつ条件が違ったりするので、
どういう結果が返ってくるのか、
予想通りの出来になっているのか、
分析結果を見るのが楽しみです。


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さてさて、当社の蔵の張り紙です。
今日、いよいよ我慢も限界で張り出しました。
酒造りを長くやっていれば当たり前のこと。
むしろ、1年やれば身に付くはずのことなのですが。

麹の布や道具、床の掃除などは
直接的に酒質への影響があるので、
生乾きやぬめりに対しては口煩く指導していて、
もちろん理由も説明して理解を促し、
生乾きもほぼなくなってきました。

なぜ同じ事をタオルやゴム手袋についても
考えて実行できないのか。。。

臭いんですよね、使っているタオルとかゴム手袋。
これまでも散々注意してきているのに、
なかなか満足に実行できないんですよね。

お米に直接触れないからとか、
ゴム手袋使ったあとは手洗い消毒するからとか、
どういう考えのもとなのかわかりません。
もしかしたら臭いも気にならないのかもしれません。

こんなこんな些細なことでも、
蔵の中では細かく気を遣っていかなくては、
いいお酒なんて出来ないんです!

どんなにいい技術をもっていても、
清潔に出来なければいいお酒になんてならないんです。
小さなことの積み重ねが大きな影響力を持つんです。
ポジティブなことでもネガティブなことでも。

煩わしい姑ババアみたいなことを
常々言い続けている社長です。

酒造りは全てが関連しているのですから、
言われたことだけ実行するのではなく、
言われたことから自分で考え応用してこそ、
それこそが酒造りの職人として必要な
能力のひとつだと考えているのです。

自分自身が考えることで学んできたから。
考え、調べ、聞き、また考え、実行してみる。
結果を踏まえてまた考える。。。
常にその繰り返しですね。

あ、それって酒造りの技術者だけでなく、
経営者にとっても必要な能力なのでしょう。


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タンク

2015.11.13 15:10|naoko@kisoji
先日1本のタンクが旅立っていきました。
私が入社した当時は、貯蔵用の密閉タンクは、
7,000L~14,000L程度のものが30本近くあったのではないでしょうか。

タンク貯蔵をすると言うことは、
しぼったお酒がそのタンクの容量に見合った量になるまで生酒のまま置き、
しぼったお酒の量が溜まった時点でまとめて火入れ作業を行います。

その方が、タンクの中に無駄な空間が少なくなり、
お酒が酸化しにくくなるのです。

しかし、私が入社以来の10年でさえも、少量多品種化が加速度的に進み、
普通酒や本醸造、主力の木曽路特別純米酒と業務用の純米酒以外は
大容量のタンクを満量にするほど同じ種類のお酒を造らなくなりました。

更には火入れ温度を精密にコントロールして急速に冷却をしたかったりと、
火入れの精度を高めて高品質化をしていく為には、
どうしても瓶燗急冷が選択されるようになるわけですね。
瓶燗急冷すると言うことは必然的に瓶のまま貯蔵しますので、
貯蔵のスペースはタンクよりも遥かに多く必要になります。

もちろん、タンク貯蔵のお酒は、タンク熟成を見越して、
瓶貯蔵のお酒とは造りを変えています。
ですから、タンク貯蔵のお酒についても、
熟成後の品質は格段に良くなっている実感はあるのです。

しかし、そうこうしているうちに大容量の貯蔵用タンクが空いたままになり、
次第に使われるものが少なくなって来るのも自然の流れです。

随分前にこのblogでも書きましたが、
数年前に大容量のタンクを10本近く処分したことがありました。
タンクがなくなり空いた場所には瓶貯蔵用の冷蔵庫が新設されたり、
貯蔵庫に変わったりして、随分とスペースを有効活用できています。

私が日本酒の業界に入ってからのたった10年でも、
日本酒のあり方や品質、理論も大きく変わってきています。
入社して以来右肩下がりに歯止めがかからず、
貯蔵タンクに残っている古酒も
果たしていつ売れていくのかわからない状況だったのが、
地道に不良在庫をろ過調合しながら使っていき、
今は会社の経営的にもできるだけフレッシュローテーションにして、
商品構成や在庫回転率も変わってきました。

先代はうちの会社を大きく伸ばした人でもありますが、
近年は市場の流れに逆らえず、
飲酒人口の減少や飲酒運転取締強化を言い訳に、
自社の売り上げ現象も自然減で致し方ないと捉える向きがありました。

ここ最近は努力が実ったのか、市場の流れなのか、
ようやく売上も回復傾向になってきて、
毎月前年同期を上回りながら推移出来るようになってきました。

しかし、その裏では先に書いたように、
タンク貯蔵から瓶貯蔵に変わってきた商品が大多数で、
当然タンクで貯蔵するより瓶貯蔵の方が、
冷蔵コストや倉庫代、1年分の在庫を先に瓶に詰めるので、
瓶や王冠などの資材の先払い、瓶燗急冷の作業コストなど、
品質と引き換えに貯蔵管理コストはかなり上がってきています。

できれば、主力の木曽路特別純米酒や業務用の純米酒も
瓶貯蔵に切り替えられれば理想的なのですが、
量が多いだけに、一時的なコストアップと
瓶燗急冷の作業が一時期に集中してしまうリスクを
うまく回避出来なければ、難しいかなとも感じます。
タンク貯蔵は大量生産型ですから、当然ですね。

どこまでやるの?どこまでできるの?
ひとつひとつの選択が、会社の将来にも大きく関わります。

近い将来、仕込みタンクと調合タンクだけがあって、
貯蔵用の密閉タンクがない酒蔵も出てきそうですね。


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11月8日、大安吉日

2015.11.08 16:08|naoko@kisoji
早いもので、本日27by初しぼりを
無事に迎えることが出来ました!

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まずは地元で一番飲まれている普通酒から。
まだ暖かい秋の仕込みですから、
醪日数も比較的短く、米も良く溶け、
4,000Lの醪もすいすいとヤブタに送られ、
あっという間に全部が入ってしまいましたね。

ずっと行っていた普通酒の四段掛けを
夫が杜氏になって以来やめてしまいましたが、
その分、種麹の種類や麹の造り方、
仕込み配合や発酵管理などを見直し、
その結果、四段掛けをしなくても甘味やふくよかなコクがあり、
そして以前に比べてスッキリとキレのある、
湯川らしい味わい深い普通酒が醸されるようになりました。

明日以降は2号3号...と上槽が続いていきそうです。
地元では普通酒のしぼりたてや生にごりなどが早くも発売になります。
まだ暖かいし、秋あがりの美味しい季節でもありますが、
新酒も同時に楽しめるなんて、なんとも贅沢なことです。

今日は日曜日で社員はお休みです。
朝の麹の仕事は人手がいるので、
いつも頭に出てきてもらいます。

明日の洗米と上槽と添おろしと盛り沢山。
杜氏は大量の洗米に付きっきりでしたから、
私が上槽と添おろしを。

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今季は去年から入った蔵人二人もそこそこ動けるようになってきて、
私はもっぱら麹のお仕事中心になっていたので、
長靴履いて仕事したのも、今季2回目か3回目(^-^;
ホース段取りしたりタンク洗ったり、久しぶりの仕事は
やはり楽しいものですね!

毎年自分の体力のバロメーターになっているのが、
5,000L開放タンクの中から踏み台なしで出られるか...。
今年もまだ何とか出られました!
でも20代の頃は腕の力だけで出られていたのだから、
多少体重も増えてるとは言え、
体力筋力の衰え感じるのは、致し方ありませんね。


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「女性として」

2015.11.03 12:14|naoko@kisoji
私のblogはよく長いとか重たいとか言われがちです。
お酒が美味しく感じるblogを書こうよ!とも言われましたが、
この場は、お酒の宣伝とは少し違った立ち位置の場所であり、
今回もどうも長くなってしまったもので、
読まないよ、と言う方はスルーしてくださいませ。


私は今35歳です。1月を迎えると36歳。
自分ではそう感じないものの、いい大人の歳になってきました。

大学を卒業してこれまでを振り返ると、
総合職で全国配属の会社に入社し、負けん気強く営業を頑張り、
10年前に湯川酒造店に入社してからは、
酒造りの現場で女性として「できない」「持てない」「任せられない」などと
言われるのだけは嫌で、男性顔負けの仕事をしてきたつもりです。

よく、「女性の感性で商品づくりをしてください。」とか言われたものですが、
決して私自身がいわゆる「女性受け」しそうなものが好きではないのと、
「女性」であることは、人としての単なる個性であると考えており、
男性だの女性だのってことが重要ではない、として、ここまで生きてきました。

その為、社長業を継いだ31歳の時にも、
「女性だから不安」と言うことではなく、
ただただ「未熟であるから不安」だったわけです。

がむしゃらに社会の中での自分の存在意義を考え、
会社の中での存在価値を高めたいと考え、
そうこうしているうちに、学生時代に想い描いていたライフプランからは
大きく出遅れることとなり、結婚も決して早くはない31歳でしたわけです。

たぶん、20代って社会に出て一番緊張感のある時代で、
覚えることも感じることも多々あり、色んなご縁を作ったり、遊びも覚えたり、
とにかく、自分のライフプランを考えると言うよりも、
いち早く社会人として一人前となれる様に、と言う想いが先行していた気がします。

当然、社会の中での責任も、会社の中での責任も大きくなってきて、
気の抜けない日々が続いていたのもうなづけます。

30代になり、ようやく自分に自信の持てるものができてきて、
精神的な余裕を持ち、パートナーを得て、
本当によく「尚子さんは丸くなった。」と言われるようになりました。

孤軍奮闘していた頃から比べ、冷静にかつ人をうまく活用することを覚え、
会社での立場も何とか自分で確立していき、
ひとりで苦労したり失敗したりした分、今は少なくとも精神的にリラックスをして
仕事を毎日することができているのです。

さて、ここまで走ってきて、ふと自分のライフプランを改めて考えてみるわけです。
結婚をして子を育み、家族が増え、家を建てたりしながら、
次第に人としての厚みを増していくというのが、私の30代の姿でした。

まだ30代は折り返しなわけですが、
しかしながらこの5年間の早かったことと言ったら、驚くほどです。

あっという間に日々が過ぎていき、
結婚はしたものの社長業を継いだばかりとあっては、
あれもこれもやらなくてはならず、会社のことが最優先の日々。
趣味に割く時間も少なくなってしまい、
結婚により精神的な余裕は獲得できたものの、
時間的余裕を紡ぎだすことが難しくなってしまったのでしょう。

そして、今。もうすでに35歳。あと2カ月たてば36歳。

以前にも書いた様に、結婚してすぐに不妊治療を始め、
決してないがしろにしてきた訳ではない、大きなライフプラン。
でも、これが思っていた以上に簡単な事ではなく、時間が掛かるんですね。

自分たちの計画通りに物事が進むわけでもなく、
高度生殖医療が発達しているとは言え、人為的にできることには限界があり、
最終的には、奇跡的なめぐりあわせを経験して授かるものなのです。

更には、不妊治療を始めてからは、いつ授かってもおかしくないと思うと、
長期出張や数カ月先の予定を組みにくくなったり、
積極的に外に出ることが、気持ち的に後ろ向きになってしまったのも事実です。

働く女性、社会的責任の大きい女性が多くなっていく中、
私を含めた彼女たちは、自身のライフプランについて、
きっととても悩みながら日々を過ごしているのではないかと思います。

まだまだ主戦場は男性社会。
そうなると、男性に負けず劣らず仕事をしていこうと考えれば、
ライフプランによる戦線離脱を余儀なくされることが、
大きな足枷となってしまうと考えても、おかしくはありません。
実際に私自身がそう感じているから。

私は社長の立場なので、
時間的制約は一般社員よりは少ないのも事実です。
社員の理解が得られれば、通院だって比較的自由にできるわけです。

今後、子を授かり、子育てをしていくことになれば、
子が最優先になるわけですから、考えが大きく変わるとは思います。
今みたいに、大方の時間を仕事に充てることもできなくなるわけです。
頭では解っているんだけれど、「足枷」と思ってしまう自分には、
まだ子を育む資格がなく、心の準備もできていないのかもしれません。

何でも自分でやりたがりの私にとって、
自分で動ける範囲に制約ができてしまうことが、今は恐ろしいのだと思います。
夫にも任せられるし、社員にも任せられる。
実際にそうして任せてきていることも多くなっているのですが、
それでも「私が」やらなくてはいけないこともまだまだたくさんあるのです。

それが、出来なくなるのが、ただただ怖いのです。


結婚しなくていいとか、子どもはいらないとか、
子を育てながら働く社会環境もまだ充分ではない、
そんな人口減少に歯止めが掛かりそうにない今の社会風潮。

しかし、仕事が大事、自分の時間が大事で、あっという間に時間が過ぎ、
人は当然考えも変わり、出会いだってあるわけで、
ふと結婚しよう、子を授かりたいという考えに至った時に、
「あれ、意外と人生残された時間が短いな!」って後悔することのない様に、
もっともっと、社会に出た若いうちに、いや、社会に出る前の学生のうちに、
ライフプランを真剣に考えられる様な、そんな世の中になってもらいたいのです。

私の人生はあと30年弱で完結したい。
その後は余生として豊かに有難く暮らしたい。
父が他界してから、そう強く感じる様になりました。

比較的短命家系の我が家ですから、そう感じるわけです。
後悔のない人生を送りたいから。
湯川の酒を後世に残したいから。

だからこそ、1日1日を大切に過ごさなくてはならないのです。

今まで、「女性として」と言うことをないがしろにしてきました。
「女性だから」ちやほやされるのも、好きではありません。

これからは、「女性として」社会的立場を確立し続けていく為に、
「女性」の役割をしっかりと捉え、重視していきたいものなのです。

社会に対して何か提言できるわけでもないのですが、
ただ、自分自身の社会での役割として、
会社を続けていくこともそうですが、皆が子を育むことで人口を減らさず、
そんな流れが多くなって地域に子どもが増えていけば、
人口減少にも歯止めが掛かり、経済も維持されるのかな。。。
なんて、えらそうなことを考えてみたりもするわけですね。

結婚している方がとか、子どもがいる方がとか、
決して優劣のある事ではありません。

ただ、ライフステージをひとつひとつ積み重ねることは、
自身の人としての厚みになり、他では経験しがたい貴重な時間を
経験することができるんだと、結婚して初めて知りました。

最近ではライフステージをひとつ進めたいのに進めず、
毎月「落第」の文字が頭をよぎり、じわじわとダメージを受けたりもします。
進んだかと思えば脱落してしまうこともあったりするわけです。
しかし、それもまた経験。

奇跡の賜物ですから、それらの経験が、
自分の会社や、社会での自身の役割に繋がっていけばいいのかな。


10月のとある秋晴れの週末。
薮原宿で、「皇女和宮下向行列」が行われました。
そう言えば、皇女和宮は幕末の動乱の世を生き抜いた女性のひとりだったんだな。


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