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吟醸造りをしながら世の中について考える

2009.01.28 07:38|naoko@kisoji
さて、本日は純米大吟醸の留仕込です。

長い一日になる予感です。

というのも、うちの蔵は午後の蒸しあがり。
15時くらいに蒸米をとるので、
そこから晒し始めたら、当然掛けるのは夜になってしまいます。

でも、これでいい吟醸になるのなら、何てことないですね。
蒸米を晒している間、先に夕食と晩酌を済ませるので、
通いの蔵人さんもこの日は毎年一緒に食事をとります。

案外そんな時間も楽しかったりして。

今年は酒造り自体、去年までよりもかなりの力を入れていますが、
吟醸に関してはもう100倍以上の力の入れようではないでしょうか。

今年の吟醸は純米大吟醸と大吟醸の2本。
仕込む前ではありますが、もう出来上がりが楽しみです。


で、タイトルにも書いたように、世の中について少し考えて見たのです。

昨日夕食をとっている時に見た情報番組で
「今、就農希望者が増えています。」と、就農セミナーの様子が映し出されていました。
まぁ、最近よく耳にする話題ではあると思います。

日本の食料自給率が40%をきっている中、
それでも日本の食を支えてくださっている
農家や漁業や酪農家などの従事者の方にとっては、
就農希望者が増えていると言うのは、願ってもない機会だと思うのです。

ただ、昨日の番組でインタビューを受けていたセミナー受講者の発言に、
私は非常にがっかりしたと言うか、そんな甘いもんじゃないっ!!!って憤りを感じたのです。

「今、派遣切りなど不安定な世の中ですから、
安定した職につければいいかなと思って受けてみました。」
「土になんて生まれてこの方触れた記憶がないんですが…。」


おいっ!!!!!!


農業に安定を求めるような人は、きっと始めてもすぐに辞めてしまうでしょう。

ナゼって、農業だって酪農だって生き物を扱っているのです。
当然天候にも左右され、風水害でその一年がパァになってしまうことだって、
低い可能性ではないと思うのです。

私は実際に農業をしているわけではないので、
あまり大きなことは言えないですが、
酒造りも生き物を扱う仕事であり、同じことだと思うのです。

去年までの杜氏が自分でもかなりの量の米を作っているのですが、
「麹を育てる2日間と言うのは、米作りを凝縮したようなものだ。」と言っていました。

麹はたった2日間ですが、米作りは約半年。
麹の2日間でさえ一時も目が話せないのに、
自然環境の中で育つ米作り、目を離せるわけがないのです。

生き物から目を離さないって、本当に大変です。
今年の酒造りでそれを目の当たりにし、
自分の時間を二の次にしなくてはいけないことを実感しました。

でも、だからこそ愛情が深まるのですが。

酒造りだって、農業だって、何だって、
生き物を相手にする技術者と言うのは、
どれだけ愛情を注げるかにかかっている気がします。

生き物は、こちらの気持ちに正直に応えてくれるのです。

今、「就農希望です」とはやりに乗って言っている皆さん、
本当に自分の時間を犠牲にしてでも、
その生き物に対して充分な愛情を注げますか???

生半可な覚悟で出来ることではないのです。
募集者だって、そんな気持ちで来られて、
勤務時間が合いません、ハードで辛いです…と
すぐに辞められては、かえって迷惑なのではないでしょうか。

中には本気で就農を希望している人だっているのです。
私の友人・知人にも農業をすごく頑張っている人がたくさんいます。
彼らは本当に農業を愛しているのです。



派遣切りは確かに不当な要素もかなりあるとは思います。
努力したからって報われない人もいるのだと思います。

でもでも、街角インタビューなどで、
「明日はわが身ですね。」って応えている人はたくさんいますが、
「切られないように頑張るまでですよ。」と応えている人は見当たりません。

安定なんて、求めに行くものではなく、
自分で作り上げるものないのではないでしょうか。

会社だって、業績が悪くても、優秀な人材は残しておきたいと思うはずです。
リストラをすると言うことは、
少数精鋭で乗り切ろうと思っているからではないでしょうか。
だったら、「こいつだけはいなくなったら困る!!!」って人材になったらいいじゃないですか。

そんな簡単じゃないかもしれないけれど、
それだけの意欲を示す人がもう少しいてもいい気がします。

以前、家業を手伝うのを決めた時に、
「これで一生安定だね。」と友人に言われたことがありました。

その時はそうかなぁ…と、ちょっと首を傾げながらも納得したのですが、
経験すればする程に、多くの経営者たちと話をする程に、
自分の会社をやっていく事ほど不安定なことはないのだなと。
会社任せではなく、全て自分次第。
自分が失敗すれば、一生不安定な生活になるのでしょう。

酒蔵だって、廃業と言うより買収が最近多い気がします。
頑張ってきても、世の中の流れで致し方ないこともあるのでしょう。
そんなニュースを耳にするたびに、とても切ない気持ちになります。

よくよく考えれば、
仕事に「安定」というものを求めること自体おかしいのかもしれませんね。

「誇り」をもって仕事に取り組める気持ちが大切だと思います。

そうは言っても、日本人みんなが意欲をもって働き、
気持ちよく生活の出来る世の中に早くなって欲しいものです。

私は、旨い酒をぶれることなく造るまでです。
余計なことはせず、真っ向勝負の日本酒です。



◇◇◇(((((人気blogランキング)))))参加中です!!!◇◇◇

コメント

安定なんて

ワタシは先代から後を継いだので
、その点では恵まれているのは解っています。
でも、心休まる日なんか1日も無いです。安定なんてどこにもありません。
仕事して、稼いで、支払って、納めて。
人様のマネージメントと当座の管理。
どこかが滞って破綻しないよう追われる毎日です。

自己実現をどこでするかは重要です。仕事で自己実現出来る人はスゴク少ないです。
野球が好きでも野球選手になれる人は一握りです。
音楽が好きでもミュージシャンになれる人は一握りです。
その点では尚子さんが酒が好きで酒を造っているのならば人より少し恵まれてるかもしれませんね。
多くの人は仕事は稼ぐ為の手段と割り切るしかないです。そして草野球やアマチュアバンドに喜びを見つけるワケです。
割り切って仕事するならその見返りとして安定が欲しいという気持ちも解らなくはないんですけどね。
皆が上手くいけば良いんですけどね。運悪くダメなこともあります。運やリスクは人それぞれ。不平等なものです。
最悪な事になった時にも自分に納得出来るような達成感が得られたら良いのでしょうが....。
そんなこと思いながら日々働いています。
お酒は、気持ちを解放してくれるテンションブレーカー。大らかさを取り戻すスイッチなんですよ。

たしかに!

もっともだね!
ろくに就活しないで派遣の道を選んだのに派遣切りに反対している輩。企業は、切る為に派遣を使っているのだということを理解していない。
そこへきて政府も派遣村だなんて甘やかすから余計に甘ったれる。派遣村で炊き出しの世話になりながらタバコ吸っている御馬鹿サンがTVに映っていた。飯を食う金は無くてもタバコ吸う金は在るらしい。まったくふざけてる。派遣村に臨時ハロワを設置しても3分の1程度の人数しか来なかったらしいし、「日本建築塗装職人の会」が300人の受け入れをするも何人も行ってないらしい。職がナイんじゃなく、職を選んでいるような輩に甘い顔を見せてやるだけ損をする時世。派遣村にいた生活保護申請者270人全員に支給してしまう役人にもせきにんはある。一生懸命働いて税金を納めている人達は、そんな使われ方を望んではいないはず。
首都圏の新聞を見れば、住み込み可能なガテン系の求人3行広告が溢れている。決して職も住居もナイわけじゃナイ。ただ、やる気がナイだけ。汚れる仕事や体力を消耗する仕事がイヤなだけ。
そんな輩だから、きっと切られた企業に在籍中も始業時間から就業時間まで適当にやりすごしていたんだと思う。
そんなだから真っ先に切られる。
とにかく、ああいう連中は放っておかなきゃダメなんだと思う。死にそうになりゃ職を選んでる場合じゃナイことに気づくだろうから。

と、ZEALは常々思ってましたw
長々とゴメンナサイw

≫bleuさん

お返事が遅くなってしまい申し訳ございません。

『自己実現をどこでするか…』
私は今酒造りで自己実現が出来ているのでしょうか。
いや、出来ているのだと思います。
正直、酒造りをする為に実家に帰った時は、
それ程日本酒に対する執着はありませんでした。
お酒を飲むことは好きだったけど、
焼酎でもカクテルでもワインでも良かったような。
むしろ日本酒は登場しなかったし。

でも、実家に帰るからには造り手にならなくては!!!
という気持ちだけは、なぜか持っていたんです。

ただただ実家に帰り、造る気持ちも解らないまま、
ただ売ることに必死になる自分を見たくなかったんです。

私はたまたま酒蔵に生を受け、
それ故、酒を造る立場になったのだけれど、
それが必然だったとは今でも思っていません。
すっごく悩んで考えて、迷って、
それで、決めたことなんです。
幸せな環境であったことには間違いありませんが、
それを自分で選択していなければ、
今でも私は酒と無縁の世界にいるのだと思います。

勤めていた前の会社の仕事はとても好きでした。
やりがいがあったし、
自分に向いていたかどうかはわからないにしろ、
楽しかったのは事実です。
今でも前の会社に戻って仕事をすることが出来るのだろうかと
シュミレーションしてしまうこともあるくらいです。
残業も気にならなかった。それは自分の為だから。

自分がサボれば会社からの評価は下がるし、
自分自身の仕事がやりにくくなる。

だから必死で頑張っていたのだと思います。

それが『稼ぐ』って事なのかもしれませんが、
そうなのであれば
『稼いでいる時間』が自分の生活時間の大半を占めており、
その時間を、無駄な時間にはしたくなかったんです。

だから、仕事の時間を充実した時間に出来たのだと思います。

しかも、仕事をするから遊ぶお金が手にはいるんですよね。
(独り身の場合は…かもしれませんが、
自分や家族の為のお金が手に入ることには違いないと思うのです。)

でも仕事詰めでもダメだと思うんです。

適度に息抜きをしてこそ、
仕事に120%取り組むことが出来るんですよね。

私はGWに毎年ダイビング旅行を計画しています。
酒造りが明けて、ようやく時間が自由になるから
一番好きなことをするんです。

そんな中で『安定』なんて考えたことがなかったんですよね。
それは、恵まれているからなのかなぁ。

でも、前の会社に入る為には必死に就職活動をしました。

今の仕事は確かに実家の仕事と言う、
ある意味タナボタ的なところはありますが、
でもそれを自分のものにできるかどうかは、自分にかかっているし、
そこで安定を求められるかどうかも自分にかかっているんですよね。

人は不平等かもしれませんが、
どんな状況下であっても、
反省と満足の中で向上心さえ持っていれば、
どんな環境でも乗り越えられると私は思っています。

以前、そんな話をある人にしたら『人生そんなに甘くないのでは???』と質されました。
どん底を味わってこそ、人として成長できる…と。

私はどん底を味わったことのない、甘い人間なんでしょうか。

どん底を味わいたくないから
努力しているまでだと思っているのですが。

だって、私の寿命が80歳だとしたら、
今後生きれても50年足らずなんです。
まだまだ私の生きてきた時間の倍以上はあるとは言え、
やりたいことは山ほどだし、子どもの頃より時間は早く進んでいるし、
一分も一秒も無駄にはしたくないんです。

なんだかとっても話がずれてしまいましたが、
とにかく、
『最悪な事になった時にも
自分に納得出来るような達成感が得られる』
ことが自己実現なのだと、
頂いたコメントをみて実感しました。

それって難しいことではあるけれど、
自分の過ごす時間全てを好きになれば、
それ程難しいことではない気もします。

ホント、えらそうにごめんなさい。

何でも『気』から!だと思っている私は浅はかなのでしょうか。

≫ZEALさん

コメントありがとうございます!
お返事が遅くなってしまい、
申し訳ございませんm(__)m

日ごろ、TVを見たりしていて
どうも自分の中で解せないことが多々あり、
それがZEALさんのコメントで言葉になっていたので、
何となくホッとしました。

人の生き方なんてそれぞれだから、
私がどうこう言うことではないのだけれど、
『決して職も住居もナイわけじゃナイ。
ただ、やる気がナイだけ。
汚れる仕事や体力を消耗する仕事がイヤなだけ。』
って感じてしまう場面は結構あるんですよね。

長野県では県と林業組合が主催する、
林業の担い手育成セミナーみたいなのが開催されており、
定員の数倍の人が受講し、開催を増やす…
とニュースでやっていました。

若い人から年配の人まで、
様々な年代の人が受講しているように見えました。

やっぱり、職を選んでいる場合ではないし、
ハードで辛くても、その仕事が誰かの為、
日本の為になっているのであれば、
すっごく満足を得られるのだと思います。

今、東国原知事の決断力を読んでいます。
彼の価値観は共感をおぼえることがかなりあります。
今まさにやる気の欠如した日本に危機感を覚えているのです。

夢や努力ややる気、責任…今の世の中に欠けていることが、
本当は当たり前に持つべきことなのだと感じさせられます。

日本の政治が甘ったれた日本人を作り上げてしまったのでしょう。
私が小さかった頃は、学校の先生に頭をはたかれたり、
ほっぺたをつねられたりしたのなんて当たり前でした。
だからこそ、子どもは痛みとしてやってはいけないことを覚えるのです。

競争心をそぎ落とし、痛みをわからせることもなく、
やれ平等だ、やれ公平だ…と皆でお手手つないで進みましょう
ってな教育をしてきてしまったから、
生きていく為に一番大切な
『夢や努力ややる気、責任』が欠如してしまっているんでしょう。

なんだか不安な世の中ではありますが、
努力して頑張っている人たちのパワーで盛り返していきたいものですね!!!!!
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